2013年7月10日水曜日

サンティニャツィオ・ディ・ロヨラ教会のだまし絵

今日も小雨の中ではありましたが、サンティニャツィオ・ディ・ロヨラ教会の
天井画を見る為に出掛けて参りました。

場所は、ベネツィア広場からVIA DEL CORSO へ入って50m程先を左折(VIA LATAへ入る)し、コレッジオ・ロマーノ広場を渡り歩き、すぐに
右折すれば、そこがサンティニャツィオ通りです。そして程なく直ぐに教会の在る広場へ出ることになります。

解説本(ROMA/同朋舎出版)によれば、”この教会は、1626年にルドヴィージ枢機卿が、イエズス会の創設者であるイグナティウス・ロヨラを讃えて建設した。”というものです。

また、”当初はクーポラが造られる予定だったが、計画が実現しなかったので、その場所には遠近法による「だまし絵」が描かれた。”との説明もあり。≪中央祭壇近い天井を見上げて、只管ウーン、と唸り続けました。≫

教会の正面ファザードは、シンメトリーが端正で、シンプルで美しい。
中に入って、先ず教会内を見渡してから、目的の天井画を時間を掛けて
見ることにした。

ローマでは、随分多くの教会に入ってみましたが、この教会ほど天井画の見事さに惚れ惚れとさせられたものはありませんでした。

解説本のお世話にならざるを得ないのですが、「画家アンドレア・ポッツォが、聖イグナティウスとイエズス会に捧げるために、このバロックの
天井画(1685)を描いた。」と説明しています。

正面祭壇寄りの天井に、クーポラと思いきや、はたまた一幅(?)の天井画を見て取れました。これが、名高い”だまし絵”のようです。

皆さんには、お耳慣れしない言葉かも知れません。専門的には、トロンプ・
ルイユ手法とも呼ばれるそうです。一種のトリック・アートです。

実際には、平坦な壁、天井に錯覚のアート(藝術)を描いて、まるで実際に
存在しているかのような「オモワセぶり」を見せる技法です。
だまし絵とも言っているようです。

このクーポラのだまし絵を直ぐに見破れる人は、勘が凄いと思います。
今日は、このだまし絵を観察しながら、写真を撮ったり、ある人のことを
想ったりして、教会の中で時間を過ごしてしまいました。

ある人とは、世界でも著名な日本を代表するグラフィックデザイナーだった福田繁雄さんのことです。きっと、福田さんもローマに来た時に、ここのだまし絵をまじまじと見つめたに違いない、と空想してしまいました。

「台東第九」(毎年12月に台東区民合唱団と芸大シンフォニーとの演奏会が開催される)
演奏会ポスターを福田繁雄さんが、製作されていた訳ですが、真に残念ながら、4年前にお亡くなりになりました。

台東第九演奏会の打ち上げには、頻繁に御参加下さっては、ユーモアに富んだコメントをされ、来賓者や参加者を大いに元気づけてくれました。

「グラフィックデザインは、益々社会に必要になってきますよ!」とおっしゃられたことが、まるで昨日のように想い出されてきます。

世界的なデザイナーであった福田さんは、いっこうに偉ぶらず、逆に大変気さくに私たちにお話し掛けて下さり、喜んでプログラムにサインをして下さったり、と素晴らしいお人柄だったことを懐かしく想いだした次第です。


                 堂々としたファザードに感動しました。
                    1626年ルドヴィージ枢機卿が建設した。

               
 
ローマの画家アンドレア・ポッツオが描いた
天井画。まるで空中に天使や人々が自由に
    飛び回っているかの見えてきました。
 

                       「ドーム型に見える凹みは、遠近法とアナモル
                     フォーシスを用いて、平面に描かれたものです。」
                     前述図書による。ドームの絵が、見えますか?!


                     だまし絵? ローマのトリック それ以上   
                                                 元鷹
               
          
 
 
 
 

0 件のコメント:

コメントを投稿