2014年11月29日土曜日

第297話 ワタッラさんと再会しました。

師走の足音が近づいているのですが、ローマの気候は例年と違ってポカポカ陽気です。街のブラブラ歩きにはもってこいの気温の今日この頃です。

ローマ・テルミニ駅へ向かう道路のひとつにヴォルトォルノ通りがあります。この通りの突端、すなわちソルフェリノ通りとの交差点近くを歩いていますと何処かで見た顔の人がBOX型のチケット販売所におりました。

”ワタッラさん”でした。かつて、2年前位でしたでしょうか、共和国広場に
近いナチォナーレ通りにある新聞雑誌販売店の直ぐ脇にあるチケットブース(販売所)で働いていた外国人男性です。

英語を大変流暢に話してくれるうえに、親切な対応ぶりでしたから、ブースの前には常にと云っても良い位、観光客が列を成していたことを思い出します。

私もここのブースを通るたびに、「BUONGIORNO!」とばかりに互いに挨拶を交わしたり、握手をしたものでした。

いつの間にか、姿を見ないと思っておりましたら、テルミニ駅近くに在る
チケット・ブースに変わっていた訳であります。

主な販売アイテムは、観光客にとってはよく知られています、美術館の入場料無料(但し、二館まで)やメトロ、バスの乗り放題ができる大変便利な「ROMA PASS」という商品です。※料金は36ユーロ(5,500円位)
3日間有効というものです。

ワタッラさんからの情報ですと、現在は、2日間有効で1か所だけの美術館を楽しめる「新・ROMA PASS」も発売しているそうです。〔写真参照〕

ところで観光立国イタリアの首都ローマの街角で、観光客相手に働く多くの人達は、やはり海外から働きに来ている外国人による労働力によるものです。

例えば、ワタッラさんのようなチケット販売のほか、四季折々の歳時記商品/ミモザの小枝、イタリア国旗、シャルパ・肩掛け、焼栗販売等がありますが、他に年間を通じて雨の日には傘、カッパの販売などもあります。

この辺のシステムと言いますか、アレンジメントが真に巧みに思われてなりません。販売員と商品調達は、殆どが一般のストリートであるにも関わらず迅速であり、販売員のポイントは一定なのです。

これらのことは、日常茶飯事にみかけることなのですが、私の眼にはその動きが不思議でなりません。

久し振りに再会をしたワタッラさんのお人柄の良さは変っていませんでしたが、2年前の姿を覚えている私には少し寂しげに映りました。私の気のせいであれば、これに越したことは無いのですが・・・。

小型オフィイス・販売ブース前で。
            ブログにご紹介させて戴くことをご了承頂きました。

           
            

            左の赤いローマパスは36ユーロ、
            新しく発売の白い方は、28ユーロです。
            ”宜しくお願いします!”

           
            街角に 雨風の日も 逞しく  元鷹
              

2014年11月17日月曜日

第296話 ピラミデ辺り


七大聖堂巡礼は今年のテーマですが、あと二聖堂を巡るのみとなりました。そのひとつサン・セバスティアーノ教会を訪ねることにしたのです。

道順は、テルミニ駅からメトロB線にて「ピラミデ駅」下車、バス118番に乗り換えると云うものです。先週14日《金》のことでした。ショーペロの話を聞いてはいましたが、大分のバスは走っていましたから、大丈夫だろうと目検討で出発したのですが・・・

行き先を経由するはずのバス118は、40分位待っても来る気配もなく待つ客も1名の男性だけでした。これは、アカンナとばかり、それならこの周辺を散歩してみようか、と気持ちを切り替えての行き先変更でした。

ピラミデ周辺には、イギリス人の墓地があると何かの本で見ていましたから、お天気も上々でしたからボチボチ出かけてみることにしました。

ピラミデ《ピラミッドのこと》を撮影した後、10分も歩くと墓地は見当たらず
気になった建物にぶつかりました。大通りのマルモラータ通りから、左折したVia Galvani《ガルヴァーニ通り》を歩いて100mも歩かない位の左手にあった建物です。

取りたてて珍しい形をしているわけではありません。玄関近くに掲示された案内文字”EDMONDO DE AMICIS”がググイィーと私の眼を惹き付けたのでした。

と申しますのも3年前に古本屋さんで購入した「CUORE」というイタリアの古典的な良本を一度はほっぽり出していたのですが、イタリア語学習の一助にと二たび三度と机脇に置いている毎日だったからでした。

因みに今し方調べてわかったのですが、日本でも有名な”母を尋ねて
3千里”という話は、この本”クオレ”の話の一部が源であったそうです。
作家は、エドモンド・デ・アミチスといい1886年に書かれたものです。

さて、その後どうしたかと言いますと、玄関近くにいらっしゃったご婦人に
挨拶をして聴いてみることにしたわけです。

この建物は、E/デ・アミチスの博物館でしょうか?と。ご婦人に中に入っても宜しいものか否かを伺いますと、ご親切にも仲介の労をかって出てくれまして受付掛かりの方に縷々聴いてくれたようでした。

結果、ダメ!だったのですが、受付の人の優しそうな男性は、何処からか
絵葉書《デ・アミチス生誕200年記念スタンプ付》を持って来られて、私に
差し出したのでした。

予想外の展開に驚きながらも、我が愛する「CUORE」本を書いた作家の
記念ハガキを手にした時の大感激は、筆舌に尽くし難いものであります。

私は、帽子を脱ぎ深々と頭を垂れて腹からの御礼を申し上げてお二人の前から離れたのでした。その時に聴いたお話しですと、その建物は眼と歯に関わる学校《専門学校?》であるとのことでした。

うれしく、そしてはやるこころ持ちを抑えながら、そして一見の外国人《私》への優しいおもてなしをしてくれたイタリア人のこころの広さに感激しながら、私はポプラ並木を散歩しました。

本の題名「CUORE」とは、”こころ”というイタリア語ですが、なんとも心温まる接遇を頂いた素晴らしい午後でした。頂いた絵葉書は、その日から私の大切な宝物となりました。

                               ローマのピラミデは、古代ローマ法務官
            カイウス・ケスティウスの墓、高さ27m。

            
建物には石版がはめられていた。
            "EDMOND DE AMICIS"の文字が・・・

            
マンリオ・ジェルソミーニ広場から
            M/ジェルソミーニ通りを望む

            
読書中の本「CUORE」の表紙ですが、
            横になったままで失礼します。

            
一見の私にプレゼントして頂いた
            生誕200年記念ハガキです。


            ピラミデに 優しさクオレ 生きている

                                元鷹                
                

2014年11月16日日曜日

第295話 ローマ歌劇場 ガレリア6列22番席

冬の夜の楽しみのひとつは、室内での娯楽が似合っています。してみると室内娯楽と云えば、オペラ観賞を挙げることが最適ではないでしょうか。

題目に「ローマ歌劇場」と掲題させて頂きましたが、正式名称は
"TEATRO DELL'OPERA DI ROMA"となっております。ただ我々仲間内では、”オペラ劇場”と通称で気軽に呼び合っています。

今日現在は、①2013-2014のシーズンが終了、②2014-2015シーズンへの移行期であり、劇場周辺は寂しい雰囲気が漂っています。

①の末尾を飾った出し物は、「RIGOLETTO」でした。この出し物は、私にとって初めての観劇でしたから、興味深く第一幕から終わりの3幕まで楽しむことが出来ました。

出演したカンタンテの歌の旨さ加減などとても評することは私には不可能ですが、さすがに晴れ舞台のステージに上る方々の歌唱力、演技力は正に圧巻で、かつ目して観なければなりません。

さて、「ガレリア6列22番席」のナンバーの不思議であります。

昨年10月でしたか、年間予約制度①を初めて使わせて頂きましたが、劇場の案内ガイドさんに添乗して戴き、自分で選んだと云うよりも、彼女のお薦め(ステージが見易い、と)もあって選んだ席でした。

”不思議さ”とは、その決まった年間予約席のナンバーのことであります。
ガレリア6列22番の数字は、私の誕生日19○○年6月22日と同じものでしたから、ビックリ仰天!してしまいました。

何か、偶然という一言では片付けられない”不思議さ”を覚えたものでした。ローマ歌劇場の総席数は、1600席余とのことですが、1600分の一の確率で自分の誕生日のナンバーと同じだったわけですから。

さて、②シーズンのスタートは間もなくです。〔11月27日~〕
しかし、今年は年間予約②(ABBONAMETO)は申し込みませんでした。

②シーズンもカタログを拝見しますと興味をそそられる出し物が多く、楽しみですが、出し物によってその都度に”マイ・シート”を見つける自由気ままなスタイルに変更することに致しました。

                               年間予約席NO.22/ガレリア6列のシート
            期間最後の日(10/21)に撮影しました。

           
フィナーレの挨拶場面
 主役のリゴレットは左です。
 
2014-2015年間スケジュールの
ローマ歌劇場発行のリーフレット
楽しみがいっぱい詰まっています!
 
 
歌劇場 22席の 不思議さよ
                    元鷹
 

2014年11月7日金曜日

第294話 カンポ・ディ・フィオーリ広場

やっぱり今年もローマの気象は異常なのかも知れません。
なんと今日まで3日(5,6,7日と)連続して雨が降り続けています。

昨日6日〔木〕は、児童生徒の安全を期して、ということでしょうか、ローマ市内の学校は休校だったと伝えられています。

さて、今日は”カンポ・ディ・フィオ-リ広場”についてご案内します。
多少なりともローマにご関心の在る方なら、雑誌やガイドブックに、この広場を認めていらっしゃることと思います。大変有名な広場の一つです。

場所は、テヴェレ川左岸〔地図の右手になります〕でコルソ・V・エマヌエレⅡ世通りとテヴェレ川に挟まれた地域一帯の中心的存在であります。

古代、中世時代からローマの人々が住みついた歴史の在る旧市街地だった、と云われています。歴史的建造物、教会、神殿、古代遺跡、美術館、由緒ある通り、など魅力の詰まった地域と言えます。

カンポ・ディ・フィオーリ広場の中心には、哲学者ジョルダーノ・ブルーノ〔1548-1600〕の像が立っているのが先ず眼に入ります。

何でもお膝元であるカトリックの教義に対して異端を唱えた罪で火刑に
されたそうですが、その場所に像が立っている、と云うことでしょうか?

面をうなだれて、どうも重くるしい表情なのが、この広場にはそぐわない気がしました。しかし、逆に言えば周囲の空気とのアンバランスが、面白い。

広場には毎日市場が繰り広げられています。八百屋、果物屋、乾物屋、花屋、家庭雑貨屋、等々が所狭しとテントを張り広げています。

そして、その数多くのテント群を囲むようにバール、ピッツェリア、レストラン、トラットリアなどの飲食店とお店が立並び、ユニークで楽しい広場を演出してくれているのです。

そういえば、以前にスパゲッティー、ローマの味の”ラ・カルボナーラ”について載せたことがございました。

時々の話題に上る訳ですが、この広場の一角〔噴水が店頭に有りますからすぐにお分かりになります〕に在るレストラン”ラ・カルボナーラ”が、お店の名の通り、最初に「ラ・カルボナーラ」を作ったと、伝説に成っています。
 

   ※ローマでは良く有る話ですが、人によって変りますのでご承知下さい!




八百屋さん店頭に置かれた赤トウガラシと
            グリーン唐辛子



             
哲学者ジョルダーノ・ブルーノ像
            台座には異端者裁判の様子がブロンズ板に
            彫られています。

            
像正面のブロンズ板に火刑にされた場所と
説明書きされています。
 
左にはテントショップが、右手は食事を楽しむ
            観光客たちで賑わいをみせる広場の風景 



            いつ来ても 花の広場は 人盛り
                                元鷹      

2014年11月6日木曜日

第293話 国立21世紀美術館 MAXXI

いよいよ霜月11月に入りました。初冬の光が薄いオレンジ色となって地表を温かく照らしているかのように映ります。

此処に掲載させて頂いているお話しの大分は、観光名所旧跡が多いのですが、そんなローマのイメージと全く違った面を見せてくれる”現代アート”を展開している美術館をご紹介申し上げたいと思います。

場所は、フラミニオ駅〔メトロA線〕からトラムに乗り換えて、マンチーニ広場で下車します。地図を片手に美術館の所在地VIA GUIDO RENI, 4A を訪ねます。鐘楼が見事に美しい教会が目に入ればそのお隣です。

外から目立つ建物です。直ぐにこれが「国立21世紀美術館」であることが
分ります。英国の女性建築家ザハ・ハディド氏の建築によるものだそうです。美術館の内外そのものが、見応えのする建築というか美術です。

中庭一杯に大きなオブジェがあって、一体これは何だろうか?と首を捻ってしまします。エントランスもガラス張りで大きな広がりを見せてくれます。
レセプションは、ホール空間に調和してとてもエレガントです。

ザイノ〔リュックザック〕を背負っていたものですから、係員からアドヴァイス
を受けて〔正確には諭されて〕、受付所近くのコイン式のロッカーに収納してから、じっくりゆっくりと館内を巡りました。

さすがは、21世紀美術館の名の通りでした。
先にもお伝えしましたが、箱モノ〔建築物〕自体が良く言えば面白く、展示紹介された”アート作品”は、ユニークなもの〔現在展示のテーマ:open museum 0pen city-〕(10/24-11/30)ばかりでした。

さて、このブログを仕上げるために、このユニークな建物をデザインした建築家ザハ・ハデッド氏をネットで調べてみました。

恥ずかしながら、と言いますか遅まきながらと言いますか、初めて知ったのですが、”新東京競技場建築”の国際デザインコンペの最優秀賞に選ばれた建築家だった、と知りました。

www.fondazionemaxxi.it


国立21世紀美術館外観 Via Guido Reni,4A
                                右側奥に教会の鐘楼がご覧いただけます。

            
入口から撮影 右に階段 中央はレセプション
           独創的なデザインを各所で観られます。

           
3Fからガラス越しに中庭を撮影しました。
            巨大なオブジェが何とも凄い感じです。  

                               行って観る 美術館に 値打ちあり
                                 元鷹
             
      
         

2014年11月2日日曜日

第292話 セルウィウスの城壁

フィレンツェから、或はナポリから電車でローマに到着する際には、大概の場合、ローマ・テルミ駅を使うことになります。また、メトロ〔地下鉄線〕は、A線とB線と呼ばれますが、このA,B線が交差〔乗換〕するのもここテルミニ駅となります。

テルミニ駅の今一つの特異性は、何と紀元前6世紀に造られた城壁の一部を構内外にもっていることであります。七つの丘を囲んでセルウィウス王が城壁を造ったのですが、その一部〔既に残骸化〕だとされています。

ローマらしいのは、2600年前の遺跡/城壁と陸の表玄関とも言えるローマ・テルミニ駅が、時代を超えて住み分けしていることであります。

テルミニ駅正面に向かって左側に城壁跡を見ることが出来る訳ですが、
その壁の延長とも思える城壁の一部が、500人広場の前を走るニコラ通りを超えて、ヴォルトゥルノ通りとの角地にも表出しているのが分ります。

面白いのは、ローマ・テルミニ駅B-1にファーストフードの「マクドナルド」が
あるのですが、その直ぐ傍にも一体何だろうか?と思わせるような岩の塊がニョキ・ニョキと天井に聳えています。

まるで、駅地下街とアートのオブジェが、共存しているかのように見えるから不思議です。左右に行き来する通行人は、殆ど関心を寄せないようですが、何とも滑稽な気もします。

遺跡を上手く残しながら駅を造った設計も素晴らしい、と感心しております。正に「此処にもローマが在る。」と思わせるアート的風景があります。

現在も市内のあちこちで観る城壁は、アウレリアヌスの城壁と呼ばれています。西暦271年ごろのものだそうですが、旧ローマ市内をおよそ20KMに亘って囲んでいたそうです。因みにセルィウスの城壁は、約10KMであったとのことです。

9月には、ピア門を何度か取上げてご紹介させて頂きましたが、このピア門は、城壁を出入りする門の一つだった訳です。この城壁は、観光で皆さんがローマに入る時には、必ずガイドさんがご説明されるはずです。

しかし、ローマ・テルミニ駅をバスで走っている時に、上記のセルウィウスの城壁跡を案内するガイドさんや添乗員の方は、意外と少ないかも知れません。

ローマにいらした際に、古代に造られた城壁〔跡〕にご関心を持たれた方は、2500年以上の歳月を超えて今日なお静かに息づいているセルウィウスの城壁跡のオブジェを是非ともご覧になってください。


セルウィルスの城壁跡は、ひっそりと
して現代もなお息づいています。
 
ローマ・テルミニ駅地下に保存されて
多くの通行人の眼に止まっています。
 
ニコラ通りとヴオトォルノ通りの角に
やはり城壁跡の一部が残っています。
 
 
古代壁 時代を映し 今もなお
 
                元鷹