2015年3月3日火曜日

第327話 春弥生の散歩路

春三月弥生となりました。さくらの季節を迎えます。ローマも一日一日と
春に近付いてきているなぁ、と言った感じを味わっています。

今日は、VIA NAZIONALE と VIA CAVOURの間をほぼ平行に走る
細い道 VIA BACCINA(バッチーナ通り) のご紹介です。

セルペンチ通りの日本レストランの「支倉」の前をさらにコロッセオ寄りに30~40mも歩きますと角にすしバー「DARUMA」があります。この角を右折したところが、VIA BACCINA(バッチーナ通り)になります。

ローマの街並みの面白いところですが、大通りから少しでも内側へ入りますと、概ね中世紀の時代に戻ると言いますか、入るといった方がよいやら、街並みは200~300年前の雰囲気を味わうことができて愉しい。

このバッチーナ通りは、特段の特徴を持った街並みではなさそうでしたが、ゆっくりと歩いてみれば、興味深い階段・古代遺跡・俳句の本を扱っている本屋・家具修理屋など次々と現われて、眼を楽しませてくれました。

この本屋さんへ入って店主と思しきシニョーラと会話を楽しむうちに、何と驚いたことに、かつての共通の知人が話題に登ったのでした。

それは、もう20年も以前に駐バチカン市国日本国大使でいらっしゃった
荒木忠男さんのことでした。氏は、外交官でありながらも俳人でもあった。

当時、美術関係の仕事で荒木さんには、大変お世話になったことがありました。また、大使官邸にも公用のご招待を受けたこともありました。

今では、只懐かしい想い出でしかないのですが、今日このような偶然に
イタリア人女性(本屋店主)との会話の中から、荒木さんのお名前が挙がったことが、とても新鮮で不思議に思えたのでした。

氏の著書「ローマのほそ道」《サイマル出版会》を私は、日本の親しい友人Yさんから数年前に頂いて読んでおりました。本との出逢いをつくって頂いたYさんにこころから感謝申し上げます。

この店主のシニョーラは、ローマの俳句協会に携わっておられる様子でしたから、荒木忠男さんのことをご存知だったのでしょう。

本棚をじっと眺めれば、普通の本屋さんと違ったものと言えば、俳句関連の小冊子が沢山並べられていたことでした。そういえば、入口のドアの真ん中には、”HAIKU IN ITALIA”と題した興味ありげなチラシが貼られていた。

やはりこの本屋さんの今一つの顔は、イタリアの俳句協会(或は、相似した団体のオーガナイザー)の事務所では、ないだろうかなどと思い巡らしてみた次第です。

「俳句」という共有したキーワードから、このブックショップ”Empiria”と私との邂逅は、20有余年前に一期一会の出逢いをさせて頂いた荒木忠男さんの想い出と彼の著書を私に引き戻させてくれたのです。

初めてヒョンと入ってみた”ローマの細道”は、そのまま偶然奇遇にも、
荒木忠男さんの本の題名であった、という何と不思議な顛末であります。


 
コロッセオは直ぐ近くに見える静かな街並み

            
                                       バッチーナ通りの真ん中辺りで見つけた
               階段のある景色 登りきった処にFontanellaが
               あって、何とも離れ難いと思わせる階段だった。


               
真っ直ぐ進めば古代ローマ時代のエンタシスが
3本ニョキニョキと顔を出してきました。
ここは、フォロ・アウグストの裏側に出ました。
 
 
Baccina 入れば邂逅 生れたり
道草は オアシスの水 飲む如し
                  元鷹

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