2015年10月27日火曜日

第413話 ナポリの国立美術館 その3/終章

ここナポリの国立美術館は、紀元前後の時代に創られた美術品が数多く展示されていました。殆どの遺跡品や大理石像の時代背景は未だ、ナポリがギリシアの植民地?だった時代でありましょうか?

兎に角、紀元前/後の彫刻や、ポンペイ(ヴィスヴィオ火山で埋もれたナポリに近い古代の町/多くの観光客を集めています)遺跡の出土品が、随分多く展示されていたことには驚きました。一見の価値あり!であります。

話を戻しましょう!
”シヌエッサのビーナス”の展示場所

前回にもお話しをしましたように美術館入口にあったインフォメーションにて場所を確認したのでしたが、ついつい探し切れずにぐるっと回ってから再びインフォメーションに再度伺いました。

学芸員の方でしょうか?大変親切に同じフロアーの回廊(正面左側)まで導いて下さりました。この辺の親切は、イタリア人、否ナポリ人でありました。

彼は、何故このビーナスに関心を持っているのか?とご尤もな質問を
直球で投げてきました。私は、そのまま正直に和辻先生の本の話を基に態々見に来た理由を説明して、彼の納得を頂きました。

彼もここの美術館の展示品を勉強中のようで、私に対しても自分のクラスの生徒であるかのように、ビーナスのお話しをしてくれたのでした。
残念ながら、私にヒヤリング能力が足りずに専門的な部分は、チンプンカンプンでした。

美術観賞の感想を申し上げるのは、私にとって中々困難ではありますが、”シヌエッサのビーナス”の前に立つと、その迫力に押されてしまい、作者の力量にただただ頭を下げるしかありませんでした。

和辻先生の書かれたことばを今一度「イタリア古寺巡礼」p121~122から拾ってご紹介させて戴きます。

”このヴィナスは、首、肩、両腕、胸の半分が欠損したトルソーであるが、しかし残っている下半身だけでもこの彫刻が神品(しんぴん)であるであることを感ぜしめるに十分である。〔中略。〕人間の「いのち」の美しさ、「いのち」の担っている深い力、それをこれほどまでに「形」に具現したことは、実際に驚くべきことである。”(p.121~p.122から一部抜粋しました。)

和辻先生の美術品へのシャープな鑑賞眼によって描き出された評論こそ、読者の皆さまには、是非一度お読み願いたいと存じます。

さぞかし、美術館回廊にひっそりと立つ”シヌエッサのヴィナス”の前に居るかのような空想体験をされるかも知れません。

 ”シヌエッサのヴィナス”は、人気の少ない
              地上階(テラス)の回廊中程にありました。
              紀元前4C、彫刻家スコパス作と推定されて
              いるそうです。〔同著/p.121より〕  

             
            

            ヴィナスの左面側から撮影/回廊の様子が
             少々伺えるかと思われます。


            
              ”アレキサンダー大王の戦い”のモザイクを
             観賞する入館者たち/世界史の本で観た
               ことがありますね。 


             
 
”アレキサンダー大王”の部分をアップしました。
この画が、モザイクで描かれているようには
見えません?私は、出来る限り近寄って見て          
参りました。ポンペイ遺跡からの発掘です。
 
 
ヴィナスとは 悩ましきもの 想像し
                   元鷹
 

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